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未知夢

第9章 異動

 繁はそう呟くと、ベンチにゴロンと寝そべった。


「はぁ〜、冷房のある部屋に寝たいなぁ。早く元に戻りたいよ。俺のいた時代に戻りたいよ……」


 戻れなければどうしよう。そんな不安が繁を襲う。


 夢の中の高円寺綾はその瞬間、どうでもよくなっていた。とにかく、早く自分の世界に戻りたかった。


 夢だったら覚めるはず。だが、アザになるくらいに自分の頭を叩いても、いまいる世界から変わることはなかった。


 どこが夢で、なにが現実だったのか?


 留置場にいた頃からなのか?


 早く夢から覚めてくれ……。













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