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未知夢

第10章 身心

〔ほらよ〕


 いきなり、前から誰かが手を差し出して声をかけてきた。


 差し出された手には、ハンバーガーと表記された、黄色い包みが添えられていた。


「はぁっ?」


 繁は顔を上げた。


 顔は真っ暗で見えなかった。


 胸から下はブルーのアロハシャツに白の短パン姿。夏にしか見ない、バンドのボーカル風ファッションだ。


〔食えよ。大丈夫、毒は入ってないよ〕


「いやいや、初対面でいきなり申し訳ないですよ。そんな事してもらったらバチが当たります」


〔今時、昭和だな……いいから、腹が減ってる時はお互い様。食べて一緒に話さないか?〕


「あ、ありがたいです。ほんと、恐縮です」


 繁は何度も頭を下げ、ハンバーガーを受け取った。


「すいません、いただきます」


 紙を剥ぎ、思いっきり口に頬張った。


 パンとビーフの風味が口に広がり、後からケチャップの味がくる。


「んまいなぁ……」




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