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未知夢

第11章 確保

 繁はヨタヨタとアパートに向かう。


「ここって、本当に現代なのだろうか?」


 見覚えのある道や建物が目に入る。


「やっぱあれは幻覚だったのか? じゃ、現代にいながら幻覚を見て過ごしてたって事か? 公園のベンチで見た夢は……て、エーイ!! ややこしいっ!! てか、あの石を掴んじゃったことが問題なんじゃねぇか!!」


 繁は周りに誰もいないのを確かめながら、独り言を言った。


 独り言でも言わなきゃやってられない気持ちだった。繁は精神的に参っていた。


 森屋の出世にショックを受け、その森屋の死と疑いをかけられての逮捕。誤認とわかって釈放されてから、仕事先から解雇され、途方にくれて公園のベンチに座ったまま、夢で高円寺綾の死を目撃する。


 いくら心臓が剛毛に包まれた繁とは言え、こうも不可思議且つ衝撃な出来事が続けば、脳神経にくる。




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