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未知夢

第15章 隠人

 大阪のアパートに戻った繁は、クタクタになりながらもう一人の繁を部屋の中に入れた。


 この世界の繁は傷害の罪であっても、殺していないのだから殺人ではないはず。


 と、思っていた。


「いや、殺人未遂だ……」


 そう、あれはどう見ても殺人未遂。


 だが、この罪は自分が被る。そう決めていた。


 自分がやったと自白すればすべておさまる。それに、元の世界では殺人だったんだ。それよりかはわずかながら罪は軽い。


 繁はソッと部屋から出ていった。


〔これからどうする?〕と、心の声が聞こえた。


「考えさせてくれ……」


 そう言って、繁はアパートを出て公園に向かった。


 時間は夜中の3時半。ややむし暑い。


 ポケットの中に手を入れると、力を失った、ただの赤い石があった。


 自分がいた世界には、もう、戻ることは出来ない。


 自分のいた世界には、もう自分はいない。


 だがもう一人、謎の人物がいる。



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