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お嬢様♡レッスン

第7章 Lesson 2♥男性の身体を知りましょう

綾芽は自身の大胆な行動に自分で驚いていた。

『葛城さんが欲しい』等と口走った事にも。

勿論、流されてそう言ったつもりはない。

祖父が全幅の信頼を置いていて、わざわざ綾芽の教育係にと望んだ事もあるが、一回り以上年の離れた葛城は、自分の知らない世界を沢山知っており、自分を大人の世界に導いてくれるのは彼を置いて他にはいないのではないかと考えた末だった。

(高月さんに初めてを奪われるのは嫌だし。それなら葛城さんの方が絶対に良いに決まってる!他の人達の事は余りまだよく分からないし…)

そんな打算もあった。

しかし、当の葛城は『よくお考えなさい』と言って取り合ってくれない。

欲しいものは全て与えてくれるんじゃなかったのかと詰め寄ること10分余り。

まだ、葛城は首を縦に振ってくれていない。

「どうして駄目なんですか?」

「今のお嬢様は勢いに流されているだけです」

「だから、違うって言ってるじゃないですか!」

この問答を繰り返している。

(何か方法はないかなぁ…あ!そうだ!!)

「だったら…。葛城、私を抱きなさい!」

ちょっとツンと澄まして、そう言ってみる綾芽。

すると葛城はクスッと笑って『ご命令ですか?』と尋ねた。

「そうよ!これは命令よ!」

そう言って綾芽は胸を張る。

「畏まりました」

葛城はそう返すと、綾芽を抱き上げる。

父以外の男性にお姫様抱っこをされたのはこれが初めてだった。

(葛城さんって…『お嬢様』が好きなのかなぁ…。お嬢様じゃないと欲情しないのかなぁ)

そんな事を思いながら綾芽は葛城の横顔を盗み見る。

高くてすっと通った鼻筋。

涼しげな切れ長の目は、一見冷たい印象を与えるが、笑うと目尻が下がり、そこに少しだけ皺が寄り、本来の彼はそうではない事を伺わせる。

睫毛は長く自然なアイラインを描いている。

後ろに流した黒髪が一筋額に掛かっていて、それが大人の色気を醸し出していた。

「お嬢様、私の顔に何か付いておりますでしょうか?」

「えっ!?」

「先程から視線を痛い程感じるのですが…」

「すっ…済みません」

「謝って頂かなくても結構ですが、本当に宜しいのですか?」

そう言って葛城が綾芽をベッドの上に下ろす。

跪いて丁寧に靴を脱がせ、綾芽を見上げる。

「『辞めろ』とご命令されても聞けないかも知れません」

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