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「素直なのも気味が悪いな」

「その言い方もなかなかひどいですね」

二人してニヤリと笑った。

「本当に思ってますよ。何かお礼しますから」

「じゃあ…」

浅野社長が私の方を向いた。

「この前のお願いを聞いてもらおうかな」

「え？」

この前の？

「考えておいて、って言ったよね」

お願い…って、あれだよね。

正直、どうなのかなって思う部分はあるんだけど…

「はい。…分かりました」

笑みを浮かべて、浅野社長を見る。

助けてもらえて、本当に感謝してるし。

「本当にありがとうございます。真幸さん」

姓で呼ぶのも抵抗あったのに、名前って…！

口に出すと妙に気恥ずかしくて、思わず照れ笑いを浮かべてしまった。

「えっと…これでよろしいですか？」

浅野社長は驚いたような表情になったけど、ククッと喉の奥で笑って

「あ、あ～。そうか、成る程ね」

一人で納得して、頷いた。

「課長ー！すみませんー！」

池上くんが呼んでいる声が聞こえた。

「ごめんなさい、ちょっと行ってきます」

二人に声をかけて、池上くんの所に向かった。