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25年目の体温

第1章 鳩

13時。
昼食を摂ろうと会社の通用口を開けた瞬間、じめじめとした蒸し暑い空気に思わず眉が寄った。
「信じられない……」
ハンカチで鼻の頭を軽く押さえ、瞳は小さく唸った。
一歩出ただけで化粧が崩れそうだ。
今日はもう、目の前のプロントでパスタにしておこう。
道路を渡り、昼食時間の波が引いた店内に滑り込む。

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