誰かお願いつかまえて
第9章 女たちの戦い
私の言葉に濡れた瞳を見開く。
『なんで……!?
さっき、休んだほうがいいって、言ったくせにっ!
…私っ、もう無理なのっ!我慢、できないっ!
なんで?ユズも、裏切るの!?』
しゃくりあげながら怒鳴るナミは、本当に辛そうで。
(私も、って、誰かに裏切られたの?)
どんな目にあったかなんて、知らない。
私はナミの震える肩に片手を置いて、もう片方の手で――
パチン!
涙に濡れる頬を打った。
「いい加減にしなさい!少し嫌がらせされたくらいでいい大人がピーピー泣いて、恥ずかしくないの!?」
ごめんね、ナミ…
きっと、今まで辛いことも我慢してきたんだろうけど…
「あんたが行くって決めたんでしょ!?
だったら行きなさいよ!あんたが行かないとダメだって、言ってたくせに!!
あんたが裏切られたのとあんたの客に何の関係も無いって、自分で言ったじゃない!!
そんなことで客を蔑ろにするような仕事を、あんたは今までしてきたの!?
大手会社の営業部が聞いて呆れるわ!」
一気にまくし立てたから息が上がってしまった。
(ごめん、こんなことしか言えなくて………でも
…)
「本当のナミは、こんなこと、望んでない!!」
今の気持ちだけで行動したら、絶対後悔するから………
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