誰かお願いつかまえて
第9章 女たちの戦い
撮影をしながら2階をチラチラ気にしていたら、幸村が出てきた。
「綺麗だ…」
カシャッ
思わず呟いている間にシャッターを切られた。
カメラマンさんが何を言ってるのか、聞こえてこない。
髪型も変えているし、お洒落なスーツを着こなしている。隣にいる柚原さんの部下がやったんだろう。
幸村にはかっこいいところを見せたいと、気合い十分で撮影に集中することにした―――が。
(アイツ、もしかして………)
さっきからこちらへの視線を感じられない。
幸村の視線の先には―――プロのモデルさながらの岡崎さん。
見られている当の本人は、幸村に気づいてないようだ。
(アイツ…なんで不貞腐れてんだよ…不貞腐れたいのはこっちだって)
「いいですねー!じゃ、そろそろ休憩入れましょう!」
休憩の間、岡崎さんを見ていたが集中しているのがひしひしと伝わってきた。
ようやく自分を見つめる幸村に気づいたらしい。
「…チッ」
思わず舌打ちしてしまった。
(なんで…そんな顔するんですか……)
岡崎さんの表情は優しかった。
ずっと探していた宝物―――幸村を見つけたから……
カシャッ
ナイスタイミングでシャッターが切られた。
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