
誰かお願いつかまえて
第2章 仕事人間
(あー、他部署の子だったのにちょっと言いすぎたかな?)
今更少しの罪悪感を覚える私。
「幸村さん…
先ほどはすみませんでした。
不快な思いをさせてしまって…」
立ちどまって俯く南ちゃん。
『南ちゃんが謝ることじゃないでしょ?
南ちゃんのが可愛いからって妬んでるんだよ。
あんなの言い返してやらないとダメだよ?』
「はい…
すみません。私、幸村さんみたいに強くなれなくて…」
ついこないだ失恋(?)して、ふとした時にブルーになってる女のどこが強いんだろうか?
(もしかして、さっきの"か弱い"って気にしちゃったかな…)
南ちゃんの手を握ってた手を離して顔を上げさせると、うわー涙目!泣くまいとしてるところが健気で可愛いなぁ…
じゃなくて。
『あのね、さっきのか弱いって悪く言ったつもりじゃなかったの。ごめんね。
私は私でできることがあるし、できないところをたくさん南ちゃんに頼ってるんだから
南ちゃんももっと私を頼ってくれなくちゃ!
実際、南ちゃんは私とか川端より仕事できてるからもっと自信もってね?』
「うぅ…すみません。ありがとうございますぅぅ…」
あー、泣き出しちゃった。しかも階段のど真ん中で。ちょっと、私が泣かしたわけじゃないからそんなこっち見るな!
ていうか、元から可愛い南ちゃんの泣き顔なんて男どもに見せてたまるか!
階段の端によってポロポロこぼれる涙を拭いてあげる。
『もう、泣かないの!午後も頑張るよ!』
「は、はい」
泣き止んだ南ちゃんを連れて営業部のフロアに向かった。
