
俺氏、捨て子を拾いました
第1章 出会う
「で、でも」
俺が言い返そうとした時、少女はペコリと頭を深く深く下げた。
そう土下座をしたのだ。
「すいません……無茶苦茶なことを言ってるのは自分でも分かってるんです……でも、でも……私ももう限界なんです……助けてください……助けてください……」
彼女の声は少し震えているようだった。
俺は思わず黙ってその光景を眺めてしまう。
かなり情緒不安定だなこの子……
この幼さで色々と悪い方の体験を受けすぎたせいなのか……
「……致し方なし……か」
俺は、立ち上がり少女に近付く。未だに少女は頭を床にくっつけている。
「面をあげい」
少女はびくりと体を震わせてゆっくりと額を上げる。
涙を垂らしながら、顔をぐしゃぐしゃにしている女の子。
俺はゆっくりとしゃがみこみ女の子と同じ視線で口を動かす。
「名前は?」
「……ふたば……」
ふたばと名乗った彼女はボケッとした表情をして俺を見つめる。なんだよもうこの子。可愛すぎるわ。
「俺は辰海(タツミ)。山中辰海だ……よろしく」
「……」
手を差し伸べても、ふたばは、まだ理解できていないのかきょとんとしたままだ。お願い成功したのになんできょとんとしたままなんですかね?
「君が……ふたばちゃんの居場所が見つかるまでは……ここにいていいよ」
「……」
……あれ? なんで固まってるのこの子。
「……ほんとに……?」
「う、うん……」
返事をすると、ふたばちゃんは再び下を向く。大丈夫かこの子は
「……」
「……おーい?」
「……う……」
「……う?」
「うわぁああああん!! うわぁああああん!!」
「ひょっ!?」
ふたばちゃんは大きな声で泣きはじめました。
やめて!! 近隣の部屋の人から苦情来ちゃうから!! 本来の意味の壁ドンされちゃうからやめて!!
