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俺氏、捨て子を拾いました

第4章 夜は長いもの



「施設は私も探すからあんたは、まずバイトを始めなさい」


 ミジンコのような格好をしながら床に寝転がる俺を、霙ちゃんは立ち上がって見下すように俺に言葉を放つ。
 このアマァ……!! 俺のママンでさへ気を遣って言わなかった禁断の言葉。バイトを始めなさいを言いやがったなぁああ!?


「……」


「返事は?」


「嫌でござる」


 無言の暴力が辰海を襲う!!


「分かった!! 分かったからお腹蹴らないで!! 子供産めなくなるから!!」


「もともと産めないだろ……全く……じゃあ私は帰るから、不本意だけどその子頼んだわよ」



 霙ちゃんは、俺のインディアンジョークに難癖を付けて、その場を去ろうとする。
 空気の読めない女は嫌われるよ全く。



「明日からでもバイトの面接にいくんだぞ?」


 この女……ニートの敵だ。集えよニート。この女レイプしよう。みんなでヤれば、怖くない。


 玄関の扉は静かに閉まり静寂が訪れる。
 目の前には、目を閉じて気持ちよさそうに寝てるふたばちゃんと俺だけ……


 俺は、何も考えずにふたばちゃんに近付いて顔を覗く。


 ぷにぷにそうな肌だ……白いし……目を開いた時のぱっちりした目も可愛かったが……寝顔も可愛い……
 触っても……いいか……な?


 ふたばちゃんの顔に俺の手が伸びる、心臓の鼓動が大きく音を立てているようで、手汗が溢れ出てくる。



 あと少しでふたばちゃんに……俺の手が……ふれ……


「たつみさん……」


 その声に反応し、俺は自分の手を俺の胸に押し当てて、後ろに尻餅をついた。
 いきなり声を出すなんて聞いてない……マジで尻餅つくの初めてだ……いてぇ……


「あり……がと……」


「……」


 小さな寝言。俺の心は何か鋭い槍に貫かれたような気持ちにさせる……そんな衝撃を受けた、小さな小さなありがとうだった。
 俺は本当に……この子の為を思ってここにいていいよと言ったのか……?



「……寝よ」


 俺はふたばちゃんに触れることなく、電気を消して、壁に凭れかかるようにして静かに目を瞑るのであった。




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