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密ばち

第9章 幼なじみ

次の朝、二人はリビングにて鉢合わせた。


「おはよう恭介」


「ん…おはよ」


恭介は昨夜自分が弥月にキスをしてしまった事を思い出した。


(…あの時弥月寝てたよな?いや寝てた!そういうことにしよう!)



「どしたの?」


頭の上でもんもんと何かを考えている恭介に弥月が聞いた。



「ん!?あ…いや!!まだ頭起きてなくてさ!まいったまいった!」


「?」



いつものことかと割り切った弥月は朝食の準備に取りかかった。



(俺、やべえな…)


自業自得な恭介だが、朝食の食いっぷりは変わらず見事なままだった。






~~~~~~~~~~~~~



その日、弥月は図書館で本を探していた。
2階にあがったところでまさかの恭介と出会う。


「恭介!珍しいね図書館にいるなんて!」


「………それちょっと失礼だろ!」


といういつものやり取りをしていると



「……あ」



弥月はある男と目があった。


啓二だ。



(な、なんでこんなとこで会っちゃうの……)


弥月はなんだか恥ずかしくなり、下を見てしまった。


態度の異変に気づいた恭介は、先ほど弥月が見ていた方向へと視線をやる。



なんとなく、誰なのかはわかった。
おそらく弥月が話していた男だろう。



(このナンパ野郎……)




恭介はなぜだか怒りが込み上げ、男の方へと歩いた。


彼のいる部屋のドアを勢いよく開ける。


ガチャン




静まりかえる空気。


(結構イケメンじゃねぇか…)

だから余計にむかつく。





意を決して恭介は告げた。





「あの。弥月に近寄らないでくれますか?あいつに変なこと教えないでください!」





二人の間に火花が散る。



そこへ弥月がやって来る。



「恭介…?どしたの?」





恭介はその場から弥月の手を引いて去った。




啓二と恭介。
お互いの第一印象は最悪なものとなっただろう。

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