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秘密

第28章 悩




「ルナ様本日はお客様が見えますのでお着替えお願いしますね」


朝ごはんの時に言われた


誰かは教えてくれなかった

とりあえずさっくんが用意してくれたドレスを着て
その人を待った



[ピーンポーン]

あ、来た
インターホンに向かおうとすると

「ここで待っててください」

って制御するように言われて


仕方なくソファに座って待った

玄関のドアが開く音からすぐ
聞き覚えのある声が聞こえた


スタスタと聞こえる足音
ちょっとドキドキしながら待った

「ルナ久しぶりね」


「…なんで…」

そこにいたのは紛れもなくルナのママだった

「なんでって、あなたの親だからに決まってるじゃない」



この前来た時もこうだった
あの時の出来事をなかったように話す
この人が…嫌いだ…


「帰ってください…」

振り絞って声を出した
それでもこの人は動こうともしなかった
それどころか近づいてきて抱きしめてきたんだ

初めてかもしれない女の人に…

化粧の匂いと香水の匂い
臭い…


「ルナ…お願い。帰ってきて。また一緒に暮らそう?」

「嫌だ…」

肩を掴まれてやっとあの匂いから解放されると

「まーくんはいいって言ってくれてるのよ。」

「誰それ…」

「あなたのお父さんになる人」

「前も言ったけど、いらないから」


冷たい言葉で突き放していこうとするのに
一歩も引かない

「今、年頃でしょう?親がいないとできないことだってルナにもあるはずよ?」




親がいないとできないこと…
親がいなくても生きてるよ
ちゃんといるから
その代わりが



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