
秘密中毒
第16章 エピローグ
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「…くそ。カッコわるー、俺」
自分に悪態をつく。
あいつが乗ってるかどうかも分からない飛行機を見送りながら。
あいつは俺を好きだった。
いつからか知らないが高3の時には気づいてた。
俺もあいつが欲しくなってたのに踏み出せなかった。
あいつの母親が亡くなったから。
あいつは心底弱ってたけど、だからこそ俺に頼りたくないらしいと分かったから。
あの時あいつを無理やり抱きしめて、伝えてたら。
あいつの気持ち考えてるようでいて、俺が逃げたんじゃないのか。
そのことが頭から離れなかった。
だから再会したときはあいつの都合なんか考えずに
近づくことだけ考えた。
身体だけでも俺に染まれば
チャンスはあると思った。
だけど俺はやきもち焼いたりあいつを苦しめただけで、泣かせてしまった。
当たり前だ…結婚してるやつに手を出したんだから、問題は起きるよな。
結局あいつがアメリカに行くって言った時点で、俺の負け。
…でもうぬぼれだけじゃなく
あいつ、俺のことすげー好きだと思う。
俺を見る目が熱い。エロい。他にも強がったり悲しんだり、分かりやすい。
あいつのそういう感情だだ漏れなのに無自覚なところが心配だ。
あと…地味に生きてるくせに意外とモテるし経験豊富で…抱いてるときのギャップがまた……
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「はあーーーっ」
