
秘密中毒
第10章 初めて
「放心状態だな…そんなに良かった?」
山田くんがあたしを見下ろして言う。
「…えっ?」
自分の乱れた呼吸の甘さや、まだ一定の感覚で痙攣する内股に、今さらのように恥ずかしさが込み上げる。
「そ、そんなこと…!」(あるんだけど…)
あたしは脱力して上手く動かせない腕で、
あわててベッドの端に追いやられた掛け布団を引き寄せて身体を隠した。
「またパンツはかせてやろうか?」と言うのをあたしが断ると、
山田くんはキッチンに行ってあっというまにパスタを作ってしまった。
時計は午後2時になっていて、あたしはすごくお腹が空いていた。
(なんか熱出した時といい、作ってもらってばっかりだな…)
90度の角度に座った彼の唇や首筋に見とれながら
さっきまで触れあっていたのに、とてもそうは思えない距離感と
甘い余韻を奏でる下腹部の現実味に挟まれていた午後。
山田くんの絶品(だったはずの)パスタの味は、よく覚えていない。
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