テキストサイズ

キョウダイ

第17章 絡みあう糸








「たまに撮ったりしている」







「今度見せてよ?」







明はいつも外の風景をじっと見つめる事がある。






何気無い日常の中で。






それは空だったり。






太陽だったり。






星空だったり。







一緒に歩いてても、ふいに空を見上げてる時がある。







そんな時はあたしも同じモノをみようとする。







儚げな横顔。







端正な顔立ちが消え入りそうに見える時がある。







だからあたしはなるべく同じモノを見ようとする。






それからあたし達はいろんな話をした。






写真の事。





両親の事。






奏の事。








「君は何かの力で生かされたと思うよ。だって普通はあんなとこから落ちたら死ぬからね?」






「なんかオタクっぽい発言、あんなとこって、知ってるの?」






「今度一緒にお墓参りに行こうか?」






「行きたいっ」






あたし達は、すっかり仲直りしていたんだった。













「どういう事だこれは?」






「さすが葵ちゃんって感じ?起きたらベッドにいないと思ったら……」






「それ、いちいち言うな」







「あはっ、ヤキモチ?」







「寝不足だから、ここでうたた寝したんだろ?お前のせいじゃねぇか!」






「俺も寝不足なんだけどね?」







「知るかよ!なんでこいつは昨日の今日でほいほい明を家に入らせてんだ?」







「そこはやっぱり葵ちゃんだから?明も寝てるし、顔色悪いから、想像つくかな?」







「なんでこんなに無防備なんだよ!しかも明と引っ付いて!」







「うるさいよ、海斗、嫌なら海斗が何とかすればいいだろう?」







「俺は今日学校休む。朝静かだったから、既に遅刻だし!」






「寝不足なんでしょ?俺も休むよ?」






「この状況もほっとけねぇし、ここで見張るのか?バカ面下げて?」






「バカ面は海斗だけでしょ?」







「お前いちいちうるせえ、そもそもお前が悪いんだろ?」













ストーリーメニュー

TOPTOPへ