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キョウダイ

第18章 育ての親





心あたりがありすぎる。

海斗も。

俺も。

……嫌だったの?

俺達の気持ちを押し付けるばかりだったかもしれない。

だって好きだから。

余裕なんかないし。

目を離すとすぐに誰かにもっていかれそうで。

家では海斗がいるし。

外に出れば、明がいるし。

悠ちゃんだって。

家に閉じ込めたかった。

ずっと俺の腕の中で。

毎日毎日エッチして。

そうしていれば。

抱き合っていれば、安心できた。

葵の体温。

甘い香り。

俺の腕の中で乱れる姿を見て。

嬉しかった。

好かれていると、実感できる気がして。

もっともっと。

葵が欲しくて。

獣みたいに求めて。

そうしていても。

どうしてだか不安だった。

……俺のこと好き?

本当に好きなの?

情けないけど。

自分の気持ちを押し付けるばかりで。

葵の気持ちが分からない。

好きかと聞けば、好きだと答える。

欲しいって聞けば、欲しいって答える。

だけど、本当の気持ちは分からない。

ただ、不安で、焦ってばかりで。

みっともなくて。

俺ってば。

ひょっとして。

捨てられちゃったのかな?

葵ちゃん。

会いたいのに。

会えなきゃ、何も分からないよ。

君の気持ちは。

どこにあるの?

誰に。

向いているの?

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