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キョウダイ

第19章 悠ちゃんの生活






「学校で他の男の前で可愛いくしてもしょうがないな、やめておこう」




急に適当にほどかれた。





勿体無いって抗議すると、いつものように自分でやれば、と拗ねられた。




大人げなくて、可愛いくて、知らない悠ちゃんの一面が見れて、驚いた。




もっと、たくさん、知れたらいいな。





そうしたら、あたしも、もっと、好きになる。





もっと、好きになる。





ほんの少しの違和感に、あたしは気付かないふりをして、学校へ向かった。







きっと皆は、いつものように、一緒に登校する。





そこで会える、勇気がなくて、裏庭からこそこそしながら、学校に行く。





ちゃんと話をするなら、一人ずつ。





気持ちの余裕を持ちたいし、何を言えば、良いのか分からないし……。





「一応君は俺の彼女って事になっているんだけど、他の男と一緒の家から出て来る彼女だけど、ね?」




背後から聞き覚えのある声がして、ギクリとする。




おそるおそる振り返る。





裏庭のお洒落なベンチに物憂げな様子で座っている、明を見付けて、気まずさで、俯いてしまう。





「どうして、こんな所にいるの、明」






「……おいで」





手を引かれて、ベンチに座らされた。





どうせまた、嫌味を言われて、責められるんだろう。




そう覚悟した。





「悠ちゃんとはずっと、友人として付き合っているんだよ、知ってた?
俺達の共通の友人もいるし、幼馴染みだし、あのアパートにも何度も泊まっている」




幼馴染みで、昔から仲が良かったのは、知ってたけど、今でもそんなに交流があるとは思わなかった。





「悠ちゃんのバイト先も知ってるし、趣味も近いし、だから、何かあったらすぐに知らせてくれる」




柔らかい風が明の髪を揺らした。





「だから、君の身に何があったのかも、多分、他のキョウダイよりも知ってると思うよ」





「そっか……。
あたしを責めないの?
いつもみたいに笑って、意地悪、言うんじゃないの?」




あたしの言葉に明はふっと、柔らかく笑った。





「悠ちゃんなら……いい」

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