テキストサイズ

キョウダイ

第4章 大人の男の人






「悠ちゃんっ、ちょっとこれどういう事っ?」



あたしは鏡の中にいる自分を見て、思わず目が点になった。

ここはとある有名な美容室。

雑誌にもよくでる、カリスマ美容師がいる店だ。

お母さんの仕事の関係で、ここの美容師さんと悠ちゃんは友達らしい。

いや、ご飯を食べに行く予定なんだけど。

あたしは髪を乾かしてないままでボサボサだったし、ジャージ姿だから、ラーメン屋がいいって言ったのに。



「いい事考えた」



急に悠ちゃんの目がキラキラっと輝いた。



「こうゆうのやってみたかったんだ」



それからケータイをいじりだし、何人かと話したりして、あれよあれよと言う間に、美容室だ。



「お前がいかに恵まれた女の子かと言うことを思い知らせてあげるから」


イタズラっぽく言うけど。


一応忘れてないけど、明日は試験日。



「悠ちゃん、あたし明日学校でテストがあるんだけど……?」



おそるおそる言ってみる。



「どうせいつも勉強してるから大丈夫だろう?」



あっさりスルー。



そりゃあね。



優秀なキョウダイがいると、何かと比べられるから、いつも授業についていくのに必死なんですけど。


特に悠ちゃんのせい。


藤森 悠斗のキョウダイと言うだけで、先生が注目するんだけど。


あいつは優秀だったってみんなが言う。


生徒会長だったみたいだし。


卒業生代表の挨拶もしたみたいだし。


比べられるから嫌なんだけどね。



「可愛いいねぇ!やっぱり小悪魔風!ぴんときたし!」



金髪のグレーのカラコンをいれたイケメンの美容師さん。


赤色のデニムのジーンズがいかにもな感じ。


会った時からテンション高めで、デジカメで写真を撮られる。


「あのう、今日はハロウィンじゃないわけだし、ちょっとこうゆうのはね」


紫色と黒のミニワンピ。


胸元が強調されてるし、ところどころにレースがあって可愛いけど。


悠ちゃんも写メを撮ってる。


ピロリロロン。


どっか、送ってんの?


おやじかいっ。




ストーリーメニュー

TOPTOPへ