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声の魔法3

第4章 対峙

朱里は肩を震わせていた。
いままでこの手に入れられなかったものはない。聡だけは思い通りになびいてこなかったのだ。悔しさと悲しさとが混ざり合っていた。





「もうやめとけ。」

振り返るとニヤッと笑う圭介の顔があった。


「聡は本気だよ。」

「本気?」

「彼女と会って、アイツ変わったよ。心から笑うようになった。気づいてるだろ?」

「………」

朱里にも心当たりがある。
いつからだろう、無口な印象だった聡が明るくなった。それに演技の幅が拡がったって先輩から誉められてた。彼女のおかげ?


「それに彼女と知り合う前から、ずっと片思いしてたから。」


「知り合う前から?」


「そう。だからやめとけ。」


「………」


「おまえには俺くらいがちょうどいいんだよ。」


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