
箱……録
第5章 宝箱の―――…なか
だが―――――――…
次の日から…
モッちゃんは現れなくなった…
近所のオバチャンの話しでは……
モッちゃんのお父さんは…サラ金に追われ…
夜逃げをした…
と…言っていた――――…
モッちゃんは…防空壕の鍵を持ったまま…
姿を消した――――――…
私は、母を閉じ込めた防空壕に毎日通った…
母が…開けてくれと……暗い穴の中で叫んでいた…
真っ暗な…防空壕…
懐中電灯を持っていたのはいつもモッちゃんで……
私は、明かりを点ける術をしらない…3歳の子供…
母の声が……
日に日に弱く…
恐ろしく…
怨めしく――――――…
洞窟にこだまする――――…
それでも…私は――――…
モッちゃんの宝箱の事を誰にも言わなかった…
数日後――――――…
母の声は聞こえなくなり…
母の捜索願いが出された――…
