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甘酸っぱい果実のその果てに

第2章 恋のお相手

「ごめん」

「もう、謝らないで下さい。そうやっていつも謝られると罪悪感が余計に増しちゃいますよ」

「ごめん」

 何度も謝る優祐さんに、私は涙が出そうなのを必死に堪えて、天を仰ぐ。

「ただいま」

「お帰りなさい。今日もお疲れ様」

 今日も聞こえてくる。隣人夫婦の声。いいなあ、私には叶わない夢。

「お疲れ様……か」

 優祐さんの瞳が悲しそうに揺らいだ。

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