テキストサイズ

甘酸っぱい果実のその果てに

第3章 居酒屋

 定時の五時に退社して、五時半に帰宅。久しぶりの外デート。何を着て行こう? 箪笥の中の服をひっくり返す。

 季節は秋。迷った挙句、大人っぽいけれどカジュアルなワインレッドのニットワンピースにした。メイクも会社用のベージュのリップから、撫子色のリップにして、ほんのり桃色のチークをつけた。久しぶりにイヤリングもつけてみたりもした。

 ピンポーンとチャイムが鳴り、私は黒のクラッチバックを手に外に出る。

「はーい」

 私が出ると優祐さんは、頬を赤く染めた。優祐さんは、いつもと同じ会社用の黒のスーツだ。けれど、ネクタイが黒と白の斜めボーダーのものに変わっている。

「……可愛い」

 優祐さんが照れながら俯いて言うものだから、私の顔まで火照ってしまう。

「もうっ……。優祐さんもそのネクタイ、似合っていますよ」

「ありがとう」

 私達は居酒屋に行く。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ