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旅は続くよ

第9章 一緒に寝ようよ 雅紀編

Aside



朝、起きたら家中どこにも人の気配がなかった

時計を見たら、あ~もう昼近いや…

じゃあ当り前か…

昨夜は翌朝1番の大口注文の弁当作りに追われてて

ヘロヘロになって帰ってきたのは夜明け前

それから今まで爆睡しちゃったんだから


おかげで今日は休み

だからってこのまま何もしないで1日ボーっとしてるのも勿体ないよな…


スウェットのままでいるとゴロゴロしちゃいそうだから、取りあえず着替えて

そういや、昼飯どうするかな…

さと兄に聞こうと店の方に行くと

A「あっれ?ニノ」

レジカウンターの椅子にチョコンと座ったニノがうつらうつらしてた


N「んぁ。…あー、相葉さん…。いつの間に帰って来てたの?」

A「朝早く帰って来て今まで寝てたんだよ。それよりココで何してんの?」

N「さと兄が出掛けたからさ、店番だよ」

A「出掛けたって…仕入れ?」

N「仕入れに釣竿は持ってかねーと思う」


聞けば時々はこうやって

店を留守にするさと兄の代わりに、店番をしてるらしい

ちゃんと仕事で出掛ける時もあるんだろうけどさ

大抵は釣竿か将棋盤持ってくってんだから

この店大丈夫なのかな…って心配になる


A「でもさ~、ダメじゃん。店番が居眠りしてちゃ」

N「いーんだよ。だって時給500円よ?
労働基準局にチクッてやろうかっつーの
大体平日の昼間なんて誰も来ないんだもん
朝から近所の爺さんばっかだよ」

古書店のお客さんは、大体が学生や子供や会社帰りのサラリーマンだったりするから

平日の昼間なんかお年寄りのお客さんがチラホラ来るだけ

それも殆どがさと兄の将棋仲間だったりするからね


N「…何、アンタ今日休みなの?」

欠伸を噛み殺しながらニノが聞いてきた

A「そ。何してよっかな~」

N「暇なら店番してよ。時給250円でどう?」

A「ちょっと待て。残りの250円どこ行った?」

N「それは俺の仲介料ってことで」

A「アホか!ピンハネし過ぎだろ」

N「しょうがねーな~。じゃ、300円でどうだ」

A「するかっ。せっかくの休みなんだから」


そういや真っ昼間からニノとゆっくり出来るのも久しぶり

店の外を見れば、いい天気

こんな日に出掛けないなんて勿体なくね?

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