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旅は続くよ

第12章 無理

Sside



N「潤くん、英語喋れたよね?」

夕飯の席でニノが言った一言がキッカケだった

M「うーん…、喋れるって程じゃないな~」

N「え、だって英語で論文書いてたじゃない」

M「辞書引きながらだもん。日常会話ができるレベルじゃないよ」

N「そっかぁ…」


なんか残念そうだな…

英語で困ってるのかな

それなら力になれるのかもしれない

でも、わざわざ自分から英語喋れるアピールするのもなぁ

なんか厭らしいだろ

…これが普通に友達相手だったら、すぐに言うのに

俺、ホントにニノが好きなんだな…

そんな事でまた自分の気持ちを自覚する


O「英語なら翔ちゃんが喋れるよ」

N「ホント?」

智くんの言葉にニノがサッと俺を見た

うっわ、そんなキラキラした目で見られると

なんでか照れちゃうんですけど


S「…ちょっとだけだぜ?」

O「まったまた~。市役所でやってたじゃん
国際ナンチャラの世話」

M「ははっ。何だよ、ナンチャラって」

S「国際交流ね。アメリカの姉妹都市と学生の交換留学の世話してたんだよ」

N「すごい!ちゃんと喋れんじゃないの」

そんな褒められると、なんか擽ったいな

好きな奴に褒められて喜ぶ感覚なんて

久しぶりに思い出した


N「じゃあさ、ちょっとお願いあんだけど…」

S「ん、何?」

N「取材についてきて通訳して!」

S「は?」


聞けば取材先の飲食店オーナーが外国人で

アポを取ろうと電話したら、英語で捲くし立てられたという

N「全っ然わかんなくてさ~…」

S「ついてくのはいいけど、俺、平日は仕事だよ?」

N「もちろん通訳さんに合わせて土日に取材するよ。だからね?」

そう言って携帯を取り出すと

N「アポ取って」

グイッと押し付けてきた


S「…はいはい」

ったく、人使いの荒いヤツ

それでも断れないのは惚れた弱みで

言われた店にに電話をしてみれば、

確かに早口の英語が飛び出してきた

どうやらオーナー本人ではないらしいが

日曜日に無事アポを取ることが出来た


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