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夢。 〜 O×S×A×N×M 〜

第4章 櫻葉 story

それから程なくして
雅紀はハワイへと渡った。





俺は何も変わらないまま
ずっとこの人生を生きるんだろう。
そう思っていたけど
転機は呆気なくやって来た。


二宮「お嬢様が、これを。
社長と会長に見て頂きたいそうです。」


二宮に手渡された封筒の中には
『DNA鑑定証』の文字と
俺の名前
娘の名前
そして
父性関係のパーセンテージ。

当然、俺と娘の父性関係は、ナシ。



そしてもう一枚




オオノ サトシ

父性関係、アリ。





そこから話は早かった
娘を守りたい会長は
多額の口止め料と慰謝料を俺に支払い
失踪という形で海外へ飛ぶよう、俺に頭を下げた。






そして今俺はハワイの地に立っている。
古びた小さな平屋の家の前に。


インターホンを押すと
家主はガチャリとドアを開けた。

俺の顔を見ると驚いて
そして
目に涙を浮かべて
ふわりと笑った。



雅紀「名前…名前は?
俺ね、雅紀。雅紀ってゆーの。」

翔「翔、だけど」

雅紀「翔。いい名前だね。
じゃあ、翔ちゃん。
翔ちゃんって呼ぶ。」

翔「それなら俺は、雅紀って呼ぼうかな。」




雅紀「やっと…名前、呼んでくれたね。
翔ちゃん……お帰りなさい…」

雅紀が俺に抱きつくから
俺もギュッと抱きしめ返した。




翔「ただいま…雅紀。」




ただいま。








★完★

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