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プリンス×プリンセス

第5章 薔薇が好きだから

プリンセスレッスンを受ける日々が過ぎていき…

気付けば、姉上の婚約発表の日まであとわずかになっていた。



「姉上、おはよう!!」

朝食を済ませ、いつものように姉上の部屋のドアを開ける。

そして、これもいつも通りに、ドアの向こうからは薔薇の薫りが溢れてきた。

「相変わらず凄いな」

部屋に入って見回すと、姉上が力なく笑った。

「それだけ気にかけてくれているのよ」

「それは分かるけど」

一番近くの花瓶に活けてある薔薇を、指先で撫でた。

瑞々しい花弁は、しっとりとした感触を指先に残す。

この城に来てから、姉上の部屋には薔薇の花が溢れていた。

それも、毎日違う花が活けられている。

シルフィに聞いたら、それもディオチェスター王子の指示らしい。

「これだけの量を毎日かぁ」

さすがは裕福な国の王子だな。

俺なら絶対こんな事しないけど。

クスッと笑って姉上を見ると、姉上は悲しい目をして薔薇を見つめていた。

「有り難いのに、切なくなるわ…」

「姉上…」

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