テキストサイズ

プリンス×プリンセス

第50章 尊い人

するとグレイスはディオを見たまま、歌うように話し始めた。

「あの方の考え方も行動力も、すべてが理想で…常々あの方のようになりたいと願っていました」

理想。

だからこその『尊い』なのか?

…それにしても…ディオが理想、ねぇ…

なんとも言えない引っ掛かりを覚えたままの俺に、グレイスは気付く事もない。

「ですから、ご結婚されるとお聞きした時は、政略結婚かお世継ぎの為の打算的な結婚かと思いました。私の知るディオチェスター王子ならそうされるかと」

さらりと語られた内容に、こっちの方が驚いてしまう。

「ごめんなさい。こんな言い方は失礼ですよね」

驚きのあまり、瞬きをしてグレイスを見る。

すると彼女はクスッ…と小さく笑みを溢した。

「ディオチェスター王子は、お一人でも生きていける方だと思っていたので」

…確かにな。

それは当たりかもしれない。

黙りこくった俺に、グレイスは場の雰囲気をとりなすかのように、慌てて言葉を重ねていった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ