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プリンス×プリンセス

第10章 下準備

「その方が手っ取り早いだろ?」

俺の部屋の風呂は、大人二人で入っても余裕なくらい広い。

風呂に入ってまた戻ってくるなら、最初から俺の部屋にいた方がいいんじゃないか?

そう思って言ったのに、当のカムリは困ったような表情を浮かべて

「あ、いえ、あの…」

言葉に詰まって、チラッとディオチェスターを見た。

すると、ディオチェスターは大きなため息をつき

「早く準備をしてやれ」

あきれ声でカムリに指示を出した。

「は、はい!!」

ピョンと飛び跳ねるくらいの勢いで踵を返すと、一目散に俺の部屋に向かっていって…

面白くないな。

俺の執事なのに、やっぱり最終的には城主の意のままなのか。

無意識に舌打ちをすると、ディオチェスターが冷たい目で俺を見た。

「何だよ」

「従者と親睦を図るのはよいが、馴れ合うのは良しとしない」

「は?」

言っている意味が分からず、聞き返すと

「お前も王子だろう?もう少し『らしく』振る舞え」

それだけ言うと、さっさと城に戻ってしまう。

「何だよ!!いちいち癇に障る奴だな!!」

ディオチェスターの後ろ姿を睨み付け、唇を噛みしめた。

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