
アイツまで徒歩5分
第22章 【番外編】少し未来の話をしよう…
「あの――――…母さん…
今―――…
俺の担当している患者の事で―――――…」
母も―――――…婦人科長と同じように…
黙って…俺の話を聞いてくれた…
「――――――…彼女…早く元気になればいいわね…
私の様に―――――――…」
母は――――…続けた…
「不思議だと思わなかった?
長男なのに…貴方の名前が“次郎”って…」
「父さんから…字を取ったって…“宗次郎”だから…“次郎”って―――――…」
「それも有るけど…
貴方には“一郎”って…お兄ちゃんがいたのよ……」
え―――――…
聞いたことが…なかった…
「ちなみに…お父さんにも“宗一郎”ってお兄様がいらっしゃったのよ?」
え?でも…父も俺も…長男――――…
母の話によると…
祖母も…母も―――――…第一子は…流産し…この世に生きて…出してあげられなかったのだと言う―――…
祖母の件もあり…
母は、プレッシャーや申し訳なさ…父と…死なせてしまった子に負い目を感じ…
自分を責め…
彼女の様に…心を壊したと言う―――――――――…
