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Face or Body

第7章 転機

アキラとヒカルは
それぞれに
連続婦女暴行傷害事件における
犯人高城翔逮捕の功労から
海浜署署長賞を受け
アキラには
鎌倉東署捜査1係への異動
ヒカルには
海浜署生活安全課への異動が
内示された。

しかし
アキラとヒカルの内示に対する選択は
180度正反対のものだった

アキラは海浜署川島交番での勤務継続を
熱望した
アキラは海浜の街を愛していた
この街に生まれ育ち
高校も地元の工業高校
そこで野球部のエース投手として活躍した
彼が現役選手時代
地元の皆が彼を応援してくれた。

幼い頃には
プロ野球選手に憧れた時代もあったが
高校野球を引退したあとは
自分を応援し支えてくれた
海浜の皆への恩返しがしたくて
警察官の道を選択していたのだ。

『俺は上を見ない。この街の住民の目線で、みんなの幸せを守りたい』

そんな
こだわりが
川島交番勤務の継続を
訴え出る根本にあった。



一方
ヒカルは
海浜署生活安全課への異動を選択した。
ヒカルは
山口県で高校までを過ごした。
幼い頃から華奢だったヒカルだが
運動神経は優れていて
3つ違いの兄
ケンタのあとをついてまわり
兄が始めた剣道に
ヒカルも夢中にのめり込んだ。

ところが
ヒカルが慕っていた兄のケンタが
ヒカルが高校1年の時に
急逝した。
原因は兄が
薬物中毒の男に殺されたからだった…。

ある夜…
合成麻薬に犯された
狂気男が所持したナイフで
若い女性を襲おうとした場面に
大学から帰宅途中のケンタが遭遇
自らの身を呈して
女性を庇いナイフで刺されて
命を落としたのだ…。

ヒカルの
理不尽な暴力に対する
暴走気味の正義感の根底には
この事件があった…。

『私は上にいく!! 理不尽な悪を絶対的正義で駆逐するの』

ヒカルは
そんな胸中をアキラに
切れ長の目を
メガネの奥から輝かせて伝えた。

そして1ヶ月…
ヒカルは川島交番から
海浜署へと異動した。

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