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泣かぬ鼠が身を焦がす

第2章 チーズの夢


「話を進めさせて頂いてもよろしいですか?」
「うあ、すみません……」


無言で怒られてしまった


「本日は、社長からの伝言をお伝えしに参りました」
「伝言……?」
「えぇ。今後ここで生活するように、とのことです」


ここで生活……って……?


「?」
「お前の生活を買ってやる、とも仰っておりました」
「つまり、俺を飼うってこと?」
「そのようなおつもりのようです」


買うと飼うですれ違ってる気もしたけど特に影響はないから放っておこう

とりあえず、交渉する前に俺の飼い主は決まったみたいだ


「で、俺はここにいていいってこと?」
「はい。こちらは社長室の横に設置された部屋になります。面倒を見られるように、とのお気遣いかと思われます」


面倒を見れるように
気遣い
……ね

俺が前に何してたか知ってんだから、それだけなわけないよね
多分お世話するのは俺の方だよ伊藤さん


俺がそんなことをかんがえていると、伊藤さんは「以上です。失礼いたします」と部屋を出て行こうと歩き出した


「あ、ちょっと待って……!」
「? はい?」
「社長さ……杉田さんに、ありがとうございますって伝えておいて下さい」
「かしこまりました」

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