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泣かぬ鼠が身を焦がす

第11章 昔離れたあわせもの


「な…………んで、あんたが……」


さっき話題になったばっかりの
俺の前の飼い主だった


「あっ……あの、さっきそこで偶然会っちゃってね? ノラがいると思わなくて、一緒に連れて来ちゃった……」
「明人! アンタ、ばか!」
「ふぇ、ごめん〜」


目を潤ませる明人はどうでもいい
本当に俺がいるかどうかなんてわかんなかったんだし

今問題なのは、こいつがどういうわけで俺を探してたのかってこと


俺の目の前にいる男は、以前と変わらない見た目をしている

光が透けるほどの明るい銀髪に、白い肌
筋肉があまりなくて、痩せ型の体型

そいつは、無表情で俺を見下ろしていた顔からにっこりと笑った顔へ簡単に変えてみせた


「ノラ、やっと見つけた。こんなところにいたんだね? 駄目だよ。ちゃんと飼い主のところに戻ってこないと」
「……お前が俺をいらねーって言ったから、俺はあそこを出たんだけど?」


ゆっくりした話し方も、変わってない


肩に置かれていた手に力が入った
指が軽く食い込んで痛い


「それに、なにこの服。俺があげたのじゃない。どうしたの? これ」
「………」
「答えて」
「痛っ……い、た……」


どこからこんな力出てくんだよ……っ

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