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泣かぬ鼠が身を焦がす

第13章 正直の心より


目が溶けるんじゃないかってぐらい泣いて、泣き止んだ頃には目の前の杉田さんの服は涙で色が変わってた


「泣き止んだ?」
「……ん……」


顔を上げさせられて、目元を拭われる

と、そこで気がついた


なんかこの仕草覚えがある
気がする

いつだっけ?


「あ……」
「どうした?」
「杉田さんもしかして、俺が朝起きた時涙拭いてくれたことある?」


あの夢見て、絶対泣いてるって思った時に杉田さんが絶対『目ヤニついてる』って拭いてくれた気が……


そう思って顔を見ると、杉田さんは気まずそうに顔を顰めた


「!」


やっぱり


「いや、まぁ……そうだな……」


あぁ、ほんとその顔反則
可愛い
好き


「魘されてたからな……」
「そっか」


まぁそうだろうな
つか、その言い方ってもしかして気にしてたのかな


「ごめん。なんかたまに、あの時のことフラッシュバックするんだ。でも……」


杉田さんの胸に耳を寄せて、静かに響く心音を聞く

少しだけ早く感じるのは気のせいかな


「杉田さんがこうしててくれれば、もう見ないかな」


俺が呟くと杉田さんは俺を抱き直してくれる


心がじんわりあったかい
ほらこれなら、絶対夢なんて見ないじゃん

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