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泣かぬ鼠が身を焦がす

第2章 チーズの夢




それから俺は毎日杉田さんの帰社予定を伝えに来る伊藤さんや、ご飯を作ってくれる大石さんに『ノラ様』って呼ばれるようになった


様って
俺なんかにつけることないのに


「こんにちは、ノラ様。お昼ごはんですよ」
「大石さんいつもありがとー」
「いえいえ」


カチャカチャと食器類のセットをしてくれる大石さんとはなかなか仲良くなれてきたと思う


「ねー」
「はい?」
「俺のことさ、呼ぶ時、様ってつけなくていいよ」
「ノラ?」
「うん」


えっなんか
すごい嬉しそうな顔されてしまった

そんなに喜ばすことだった?


「じゃあ私のことは、茜って呼んでください」


にこって笑う顔がやっぱり可愛い


「茜さん」
「ふふっ、擽ったいですね」



って、茜さんとは良好な人間関係を築けたんだけど


「おはようございます、ノラ様」
「ぅ、はよ……ございましゅ……」
「本日は社長はーーーーー」


鉄面皮(伊藤さん)とは全然仲良くなれる気がしないし

あれ以降杉田さんは忙しいらしくて俺のところには顔を見せなくなった


っあーーーーーー!!!!
セックスしたいよぅ

なんでこんなことになったの!?
次会ったら絶対襲ってやる!!


こうして俺は今までした事もない禁欲(セックスのみ。オナニーはするけど)記録を更新する羽目になった

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