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泣かぬ鼠が身を焦がす

第15章 鼠の志


それから家の中の探検を再開して、1日たっぷり堪能した


「卒業アルバムとかないのー?」
「あっても見せないぞ」
「なんでだよ!」


なんてこと話しながら家をぐるぐる回る

今まで知らなかった趣味の話を聞いて「おっさん臭い」なんて文句を言って

やたらとデカいテレビに埃が積もってたことに「もったいない」と茶化した


「娯楽が少ない!」
「必要もないし、時間もなかったからな」


こんな会話から


「純は、何か趣味があるのか?」


なんて質問に発展したりもした


「んー……ゲームとか好きだよ。後は漫画読んだりもしたよ」
「そうか。あの部屋にも買うか?」
「拓真さん買いすぎるならなぁ。でもちょっと欲しいかも」
「なら今度買いに行くか」
「やった!」


次の約束出来ちゃった


夕方になって、薄暗くなったところで夜景を見て
あっという間に帰る時間


「1日が短かったなー」


俺が車の中でぼやくと、拓真さんがふ、と笑った


「でも、あの部屋にずっといるんじゃ退屈だろう? それに移動時間もかかる」


んー、まぁ
確かにねぇ


でも、色んな事知れたし
それだけでも今日は本当に来てよかった

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