テキストサイズ

泣かぬ鼠が身を焦がす

第19章 七転び八起き

純目線

当てもなく歩いて、辿り着いた先には見たこともない建物ばかりが並んでいた

電信柱に貼ってあった地名も、聞いたこともないところ

とは言っても徒歩で行ける範囲なんて限られてるから、俺が知らないだけだろうけど


完全に迷子だな、俺

つーか、なんか
頭痛いんだけど


昨日の夜から何も食べていなくて
拓真さんに何かなかったか心配で一睡も出来ていない


こんな状態なら体調ぐらい崩しても仕方ないか


そんな風に結論付けて、近くにあった公園にふらふら入る

平日の昼間なのに遊んでいる子供は1人もいない


なんだか世界で俺だけが1人ぼっちになっちゃったみたい


あまりの身体の怠さに設置されていたベンチの上に座って、そのまま身体を倒した

涙が乾いた頬がパリパリして突っ張る感じがする


「……っ」


それを、思い出したようにまた溢れ出した涙が潤して解した


「うぇ、え……うあぁぁぁ……っ」


涙は勢いを緩めないまま加速して
拓真さんの前では我慢した泣き声も口から漏れる


子供みたいだ、こんな泣き方するなんて


「わあぁぁぁぁっ、うぇ、ぇぇ………っ」


でも本当は、拓真さんにもこうやって泣いて縋れたら良かったのかも

もう全部後の祭りなんだけど

ストーリーメニュー

TOPTOPへ