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泣かぬ鼠が身を焦がす

第21章 能ある鷹も身を焦がす(サイドストーリー)


「……っかり、ませ……」


絞り出した声は自分で聞いても蚊の鳴くような声で、三村様も


「聞こえないな?」


とはっきりとした言葉を催促なさいます


「わかりま、せん……っ」


どうにか恐怖に耐えつつ言葉を発すると、三村様は笑みを深くされました


「じゃあ、教えてあげる」
「え……っ!? 何を!?」
「何って、目隠し」


目隠しをして何を教えると言うのですか!
何も見えない……っ


「外して下さい!」
「だーめ」


楽しげな三村様の話し声に続いて聞こえてきたのは、カチャカチャという金属音

それは決して手錠を外す音などではありません

……この音は……ベルトを外す音に似ているような……


「……」


黙り込んでしまった私に、三村様は楽しそうなお声で


「俺が何してるかわかった?」


と問いかけてきました

残念なことに私の予想は当たってしまったみたいです

頭の両側のベッドが沈むような感覚
そして顔の前に、何やら熱が感じられます


「……っ」


それが何かわかるので、私は必死で唇を固く結びました


「最後の抵抗? かわいいね」


三村様の声がして、私の頬に棒状の温かいものがぺち、と当たりました

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