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泣かぬ鼠が身を焦がす

第21章 能ある鷹も身を焦がす(サイドストーリー)


1度落ち着いて、自分の席に戻ってから2つに折られていたメモを開きました


『昨日のことでお話ししたいことがございますので、お時間が空き次第お電話下さい。待ってます』


「……」


どんなお気持ちでこの伝言を三村様はお伝えになったのでしょう

他人から見ればこの『昨日のこと』とは打ち合わせのことだと思いますが、私には昨日の情事しか思いつきません

それ故にそれを他人に悟られてしまわないか、何故こんな伝言を他人に頼むのか、と焦ってしまって正気ではいられないではありませんか


私はそれをゴミ箱に捨てようとしましたが、部下たちの手前取引先からの伝言を蔑ろに扱っているのを見られるのはよくありません

……決して、迷っているからでは
ありません


私はそれをひとまずポケットに入れました
後で捨てようと考えたのです


しかし私はそのことをすぐに後悔することになります


「静?」
「……」
「静?」
「……っあ、はい。何でしょうか?」


雇い主であり、私が今現在最も気にかけなければならない社長とのお仕事へ影響が出てしまったからです


「今日はそういうことが多いな」
「……っ、大変申し訳ございません」

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