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泣かぬ鼠が身を焦がす

第21章 能ある鷹も身を焦がす(サイドストーリー)


突然声を掛けられて、不自然なほど反応してしまいました


何をしているんだ、私は
あの人の事なんてどうでもいいじゃありませんか

『どうかしてた』なんて言葉で人にあんなことをする人なんて……っ


その後大した会話はなく、黙って三村様のコーヒーがなくなっていくのを待ちました

とは言っても、急いでいらして喉が渇いていたらしくそこまで時間はかかりませんでした

「待たせた俺が悪いし、ここはいいよ」と仰った三村様が会計を済ませて下さり外に出ます


「ここから予約してある店まではタクシーで行くから」
「ご予約して下さったんですか?」
「あの後すぐ電話して取れるとこだから、大したとこじゃないけどね」


こういうところは、随分とスマートに対応されるのですね


「わかりました」
「え、と……あ、来た」


私の返事を聞くと三村様が通りを見渡してタイミングよく走って来たタクシーを止められます

乗り込んだ三村様は手際よく場所を運転手に伝えられ、目的地にはさほど時間もかからずに到着致しました


「ここ……ですか」
「うん。ここの最上階レストラン。来たことある?」


仕事で予約を取ったことはありますが、自分が利用したことはありません

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