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泣かぬ鼠が身を焦がす

第22章 一に看病、二も看病


「お味は大丈夫ですか?」
「うん。美味しいです……」
「それは良かった」


ふ、と笑われて次の1口を差し出され、自分で食べられますという言葉を飲み込んだ


言えねー……


結局朝と同じようにご飯を人に全部食べさせて貰って、寝るのもまた手を貸してもらった


至れり尽くせりだ……
申し訳ない

拓真さんは自分のせいなんだから自業自得だけど、伊藤さん完全にとばっちりだもんなぁ


「伊藤さん、ありがと。こんなことさせてごめん」


俺が布団の中から声を掛けると、伊藤さんが穏やかな表情で俺を振り返る


「病気の時はしっかり休むべきです。ノラ様がそう仰ったじゃないですか」
「あはは……拓真さんの時ね……うん、そっか。そうだね。ちゃんと休むわ」
「はい。社長も1日中ずっとそわそわしていて仕事にならないので、早く治して下さいね」


そわそわ?


「ふは、そうなんだ。悪いことしたね」


2人で笑いあって、伊藤さんに薬を飲ませて貰って、「お大事に」という御言葉を頂いて
伊藤さんは部屋を出て行った


美味しいご飯を食べてちょっと笑ったら、体調は結構良くなった

寝れるかも


もう一眠りしよう、と俺はまた目を閉じた

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