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泣かぬ鼠が身を焦がす

第27章 苦あれば


そしてそのまま部屋の中へと引き込んで、床に押し倒す


「ん……っ、んーー」
「しー……ごめん。静かにして、お願い」


俺が必死に懇願すると、お手伝いさんはコクコクと頷いてくれた

それを信用して手を離すと、結構力を入れてしまっていたのかお手伝いさんは少し苦しそうにした

お手伝いさんの上から俺が退いて、お互い向かい合わせになるように座る


「……」
「……」


2人の間に沈黙が流れた


気まずいな

でも、今ここで時間かけるわけにもいかない


と思ったところで、お手伝いさんが口を開いた


「……出て行かれるんですか」


わかるよな
やっぱり


俺はゆっくりと頷いた


「……父さんと母さんに言う?」


言われると、困る

でも黙っててもらって、それがバレた時に迷惑かけるのもなんか
悪い


俺の質問に、お手伝いさんは首を横に振って応えた


「言いません。黙ってます」
「でも、バレたら怒られるよ?」
「それでも、いいです」
「? どうしてそんな……」


頑なな意志を貫こうとするお手伝いさんに、俺は疑問を感じてしまう


そんなに庇って貰えるほど、仲良くなってたっけ?

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