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泣かぬ鼠が身を焦がす

第27章 苦あれば


巻き込んでごめんね
俺のなんかのこと、絶対拾わない方が良かったよ

確実に俺は厄介のタネだもん

俺がいなければ良かったことが、今までもこれからもきっとたくさんある

でも
でもね

でも……もう無理

出会ったら
好きになったら

もう止められないでしょ?


「拓真さん……俺、拓真さんのこと好きだよ……大好き……」


俺の言葉に拓真さんが俺に回してた腕に少しだけ力が入った


「拓真さんも…………俺のこと好き……だよ、ね……? …………ずぎ、で……ぃ、で……」


最後は俺の言葉は涙でぐずぐずになっちゃって、きっと何言ってるのかわかんなかったと思う

好きって言って、なんて


けど


「……!」


拓真さんはわかってくれたらしくて、身体を少し離して俺と目を合わせてきた

その目はやっぱり涙で潤んでいる

目の周りも少し赤い


「嫌いになんて、なるわけないだろう…………俺だって、好きだよ……お前のこと、好きだ。愛してる」
「おれも…………おれ、も……あいじでる……」


絶対しないけど
ありえるわけないけど

でも俺


いつか死ぬなら今がいい
この幸せなまま死にたい


って本気で思った

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