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泣かぬ鼠が身を焦がす

第28章 画竜点睛


目が覚めた時と同じように俺たち2人はまた無言で抱き合った


今日はこんなのばっかりだな

でも仕方ないよね
だって、それだけ心と身体が離れてたのが不安だったんだから

物理的にも距離感を取り戻したいってことだよね


暫くすると拓真さんが俺から少し身体を離した


「身体は、大丈夫なのか?」
「え、と……」
「いや、悪い。痛みがないわけないよな」


俺の少し躊躇った様子に、拓真さんが俺の頭を撫でながら気遣いを見せてくれる


ごめん拓真さん
気遣わせて

でも俺強がってる余裕ないレベルでやばい

正直今も頭ぐらぐらしてる


「食事を摂って、薬を飲んだらまた眠った方がいいな。用意はしてあるんだ。今持ってくる」


そう言って立ち上がろうとした拓真さんの服の裾を俺は無意識に掴んだ


「……あ……」
「? なんだ?」
「……え、と……いや、なんでもない……」


もう少しここにいて

っていうのは、俺のこと心配してご飯取りに行こうとしてる拓真さんには酷なお願いだよな


そう思って、俺は掴んでいた手を引っ込めた

すると拓真さんはまた俺の頭にぽん、と手を乗せて


「すぐ戻る」


と言って部屋を出て行く

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