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泣かぬ鼠が身を焦がす

第29章 黒白を


そんな正直拍子抜け、っていうぐらいまったりとした生活がそれから何日か続いた

その間、拓真さんは俺が実家にいた時のことを何も聞かなかった

俺の怪我とか傷とかが治るまで待っててくれたのかもしれない


そんな気遣いの中俺の体調はどんどん良くなり
固形のものも吐かずに食べられるようになったし、動ける範囲も今までと変わらないぐらいにまで戻った


そして、ある日リビングまで行って慣れないソファに座りながら大人しくテレビを見ていたら


「あっ……!!!!」


俺が思わず声を上げるようなら光景が目に入った


「純? どうした?」
「え、と……」
「?」


不思議な顔をした拓真さんが仕事してたテーブルから俺の方へとやってくる

そして画面を見て


「……」


少しだけ険しい顔をした

それもそのはず
これまであえて避けていた報道番組を不注意で写してしまって、その上あの人が視察を終えたってニュースを報道してたから

拓真さんが過剰反応する意味はないけど、俺が反応したことにいい気分はしないよね


というか、もう1週間経ったのか

お手伝いさんのおかげで俺がどれだけ時間を稼げたのかはわからない

もしかしたらもうとっくにバレてて、母さんたちに探されてるのかもしれない

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