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泣かぬ鼠が身を焦がす

第29章 黒白を


拓真さんは聞きたくないかもしれない
俺だってもちろん、言いたくない

けど俺を助けるために自分を賭けてくれたお手伝いさんを助けるためなら、俺も全てを賭けて助けたい


俺は拓真さんから身体を離した


「拓真さん、お願いがあるんだ」
「お願い?」
「うん」


覚悟を決めて、俺は家に帰ってから脱出するまでのことを拓真さんに話した

当然あの人にされたことは省いたけど、察しのいい拓真さんは俺が言葉で隠したところで何をされたかわかっただろう

険しい顔してたし、そもそも俺の怪我とか見てたわけだしね


そして、本題


「それで俺、俺が家を出るときに助けてくれたお手伝いさんのこと助けたいんだ。俺のために嘘をついたから、危ない目に合ってると思う。だからーーー」


俺が必死で拓真さんに懇願していると、拓真さんは俺の言葉を遮って「わかった」と言った


「それも、俺に任せてくれ。純を助けてくれたその人を、今度は俺が絶対に助けるから」
「うん……」


俺は何でか話しただけなのに泣きそうで、それを見た拓真さんは俺をさっきより強めに抱き締めてくれた

そしてこの後俺は、拓真さんに名前も知らないお手伝いさんの見た目の特徴とかを伝えた

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