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泣かぬ鼠が身を焦がす

第29章 黒白を


やっぱりそうだったんだ


俺は自分の鼓動が早くなっているのを感じた

けど、拓真さんが次に発した言葉は俺の予想を覆すもの


「だが、純の母親や総理から連絡があったという報告が来たわけではない」
「! そう、なの……?」
「あぁ」


じゃあ何の連絡?


という俺の疑問には、拓真さんがすぐに答えてくれた


「今の電話は、家庭裁判所からの連絡が来たことを知らせるものだ」
「かてい、さいばんしょ……」


言葉を反芻してみたけど、俺にはそれに今何の関係があるのかさっぱりわからない


だって家庭裁判所って離婚とかちっちゃい事故とか、そういうのをやるとこじゃないの?


法律関係に疎い俺がぽかん、としていると拓真さんはふ、と笑う


「純をちゃんと、俺のものにする準備が出来たんだ」
「???」


意味、わかんね


そこから説明されたことは俺には正直ちんぷんかんぷんだったけど、とにかく


「俺の戸籍を戻して、拓真さんのところに入れられる……ってこと……?」


なんだ、それ
そんな都合のいい話があるの


けど拓真さんは自信ありげに深く頷く


「裁判所で絶対に勝てるネタが、こっちにはあるからな」

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