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泣かぬ鼠が身を焦がす

第6章 病に薬なし


「許して貰えるか?」
「え、と……元から杉田さんに怒ってなんかないよ、俺」
「そうか」
「……」


こんな真面目に謝罪されるなんてそんな経験ほとんどなくて、俺は何だか居た堪れない


なんか、話題




「ねぇ、顔色悪いけど大丈夫?」


俺がさっきさらっと流された話題を思い出して振ってみると杉田さんは「大丈夫だ」と言いながら立ち上がった

けど、その足取りは何だか不安定で


よ、よろよろしてるけど
大丈夫ってどういう意味だっけ……?


「ちょ、寝てなよ。フラついてんじゃん」


俺が背中を支えるように横に行くと


「大丈夫」


と手を振りほどかれる

けど、扉に行くより前に杉田さんは壁に手をついて立ち止まった


大丈夫じゃねーじゃん!
もー


「ほら、肩に捕まって」
「いや……」


くそ面倒くさいな

風邪だと謙虚になんの?
それとも日本人特有のワーカホリックなわけ?

とにかくいつも通り憎まれ口叩くくらいじゃないと気持ち悪いっての


「いい加減にしろっての」
「おい……」
「シャラップ」


俺は杉田さんの脇の下から身体を通して身体を支えて、ベッドに逆戻りさせた

そしてその上からどさどさ布団を被せる

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