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第1章 おわりからはじまりへ
高校選びなんてテキトーだった。
「まさき、お前どこ校受けんの?」
おれの数少ない友人で小学校からの仲の竹山は、
心配そうに聞いてきた。
偏差値は60そこそこあるし、別に選べないわけじゃない。
『んー、理数科がある、近所のとこかな』
「なら朝月高校?」
『どこそれ』
ただ、【高校生活】に興味がない。
正直、中学1年から2年の長い間イジメも受けたし、あまりいい思い出もないから早く卒業したい。
でも『今以上』を望むのが、すごく、怖い。
淡々としたこの日常がずっと続けばいいなと思う。
そんな俺なんてお構いなしに、
時間は残酷に、あっという間に過ぎて。
受験当日になって、合格発表日になって、
気づけば卒業式の日になった。
おれも竹山も無事志望校に合格して、
別々の道に進むことになった。
「まさき、朝月でもがんばれよ」
『ありがとう。お前もな。
…あと月一くらいには会いたい』
竹山は笑って頷いた。泣きながら笑っていた。
ああ卒業なんだ、と思った。
中学校3年生、3月。
切なさも日差しも、これ以上ないほど強く感じる、この日以上なんて来ないとずっと思ってた。
もちろんこの時のおれは、一ヶ月後に訪れる人生を変える『運命の出会い』なんて知る由もない。
島田将生、15歳。春の匂いを感じていた。
